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Birthday Novel

第8章 H27.6.18. 黄瀬涼太


「涼太最近凄く頑張ってるから…。無理してないかだけ心配だったの」



ほらね、彼女はチームのことをよく見てる。
気遣いが出来てとっても優しい。
そういうところがほんと好き。



「ありがとう。ほんと嬉しいっス」
「どういたしまして」



今こんな時に告白するのはズルいだろうか。
彼女を困らせてしまうだろうか。
だけどこれ以上我慢が出来る保証も無い。



「っち」
「ん?」



なら、もう伝えようか。
何と言われても、とりあえずまずは伝えるところから。
好き、ただそれだけ。



「オレ、っちのこと…」
「おいお前ら!何してんだ、早く着替えて来い!」
「「え」」



大きな声の主は虹村キャプテンだ。
そうだ、部活行く前にこうしているんだった。
ついつい忘れてしまっていた。



「あ…どうしよう…?」
「えーと…じゃあ、今日一緒に帰ろ?その時に話すっス」
「ん…。わかった」



思わぬ邪魔…指導が入ってしまったけれど、だったら別の時に言うまでだ。
もう我慢は出来ないから。

これまでに募ってきた彼女への想いありったけを。
伝えたら彼女はどんな顔をするだろう。
わからないけれどそれを恐れていちゃ何も出来ないから。





今日オレは、男として一つ大人になる。

…と思う。






2015.06.18.
Happy Birthday to Ryota..





:



「ったく、あいつら何やってんだ?」


大きな声の虹村キャプテンは怒鳴っても走って来ない2人をまだ見ていた。


「ん?…ああ、黄瀬とですか」


その隣に立つのは副キャプテンである赤司だ。


「そうなんだよ、さっきからあんなとこで立ち止まって話しててよ」
「黄瀬は今日誕生日でしたね」
「ふーん?…それ関係あるのか?」
「……」


赤司はもちろん黄瀬の気持ちに気づいている。
しかし虹村はさっぱりわからない。


「ちょっとキャプテン~オレがせっかくいい仕事したのに邪魔しないでよ~」
「は?」
「紫原、この時間はお前が作ったのか?」
「そだよ~」
「へぇ…意外だったな」
「黄瀬ちんわかりやすいからさぁ。さっちんの次にね」


感謝しろと言わんばかりに、紫原は胸を張った。


「ああ、確かにな。わからない人もいるみたいだが…」
「???」
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