第8章 H27.6.18. 黄瀬涼太
ブーッ ブーッ
時刻は0:00
放っておいても暗くならない携帯の画面。
寝たくても寝かせてくれない通知音。
もう何回同じ音を聞いただろう。
0:06
ようやく落ち着いた携帯に届いたメールの件数は全部で126件。
内、10件は友達。4件は仕事関係の人。
他は全て女子からだ。
もう誰が誰だかわからない。
デコレーションされまくったメール。
内容はキャピキャピしたやつばっかりだ。
つまり、この中に欲しい相手からのメールはただの1通も無かった。
「で、なんでバスケ部は誰一人、バースデーメール送ってきてくれないんスかぁ…」
オレは今日で14歳になった。
バスケ部に入りたてではあるけれど、とりあえず仲良くしとくべき人とはメアドも交換したし、アドレスには誕生日の数字も入れてるし、なんなら少し前から今月誕生日だって言ったし。
黒子っちに関しちゃ「アドレスを見たらわかります」って言ってたのに。
「あんまり祝うとかしないんスかねー。でもみんな仲良しだし…。メールをしないんスかね」
ブーッ ブーッ
諦めて寝ようとベッドに潜り込んだ時、今度は着信が来た。
まさか着信が来るとは思わなくて、誰からかも確認せずに慌てて通話ボタンを押した。
「もしもし…!」
が、相手は無言だ。
え、今時イタ電?とか思いつつ出方を待っていると、「あ」という声が聞こえた。
『黄瀬君ですか?』
「黒子っちー!」
電話の相手は黒子っちだった。
全く候補に無かった相手だったから驚いた。
『起きてたんですね』
「メールがめっちゃ来て寝れなかったんスよ」
『なるほど…。あ、お誕生日おめでとうございます』
「ありがと!」
順番おかしいでしょ、ってほんの少し思ったけど、電話くれただけで結構嬉しいから問題無し。
その後、黒子っちとはある程度話してすぐに電話を終えた。
のはいいけど、嬉しくて目が覚めてしまって、中々寝れない上に寂しい。
ブーッ ブーッ
それを察したかの様に、また新たにメールが届いた。
それを見ようと携帯を開くと、続いて着信が来た。
オレがずっと待ってた相手だ。