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Birthday Novel

第7章 H27.6.20. 日向翔陽


今日は日向の誕生日。

そして当の本人はといえば、ポッカリと口を開けて汗を垂らしている。
一体どういう意味でそんな顔をしているのか。
大方、私が覚えていたということに驚いて、急に祝福の言葉を言ったことに驚いて、何か起こるのかと不安がって頭の中がパニックになっているんだろう。


「覚えてたんだ…」
「当たり前でしょ。…友達、なんだし」
「え、あー、うん…そうだな…」
「え?」


テンションが高かったわけじゃない。
だけど今あからさまにテンションが下がった。
それだけはわかった。

どうして?

距離が近づいたと思っていたのは私だけだったのだろうか。
彼からしてみればチームメイトの笑顔は絶対であって、その為だけにやっていた10ヶ月だったのだろうか。


「えっと…なんかごめん…」
「えっ?!いや、違う!そうじゃなくて!」


日向の顔が赤い。なんだろう。
考えすぎて知恵熱でも出したのだろうか。
熱を計ろうと手を伸ばすが、サッと避けられ腕を掴まれた。


「しょーちゃん…?」
「!」
「ハイ…」


珍しく真剣な顔つきで見てくる彼に、私は何も言えず何も出来なくなった。

彼の言葉を待つ。


「オレは、友達じゃないっ!」
「えっ」
「ちがっ、いや、違くないんだけどそうじゃなくてっ!」


頭が痛い。鈍器で殴られたみたいだ。


「友達じゃなくて、そうじゃない好きなんだよ!そう、好き!!」


ふとクラクラしていた頭が停止した。


「すき…?」
「うん、オレ、が好きだ」


は、オレのこと…どう思う?

顔を覗き込むようにして尋ねる日向は不安そうだ。
残念なことに、笑い方も忘れた私が恋愛感情なんてものわかるわけもなく。


「ごめん、わからない…。でも、嫌じゃない…」
「…へへっ、そっか!」


彼はいつも元気で明るい。
その笑顔で私を笑わそうと、私の周りを明るくしてくれる。
ただ今の笑顔はどこか曇りがあって、そんな彼を見るのが辛くて。


「しょーちゃん、笑って」


今日だけ、彼にだけ、特別に見せてあげましょう。
少し思い出した、私の笑顔を。

真っ赤に染まる彼の顔はとっても愛らしかった。




2015.06.20.
Happy Birthday to Syo-yo..
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