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Birthday Novel

第5章 H27.7.10. 虹村修造


「じゃあなー」
「うん、またね」



別れ道。
なんか名残惜しいような気もするが、今は手紙の内容が気になって仕方がない。
家まではあと10分。
それすらも待ちきれない。

…よし、だいぶ離れたな。

コッソリと手紙を開く。
緊張する気持ちを落ち着かせ、手に汗握って読む。
最後まで読みきった時、気づけば俺は来た道を引き戻して走っていた。



「!!」
「えっ、虹村君?!」



ほんの少ししか走ってないのに息が上がっているのは、きっと緊張のせいだ。

息を思いっきり吸う。そして、吐く。



「俺も好きだ!!」
「え?!」
「のこと、好きだ!!」
「なっ、えっ、…まさか手紙読んだの?!」



ああ、読んださ。我慢出来なくて。
ラブレターだったらいいのに、なんて思ってたら本当にそうなんだもんよ。
それを知ってなお、男の俺が黙ってられるか。



「クッソ、口で言ったのは俺が先だからな!」
「え?…いやっ、私の方が先だし!」
「だったら口で言ってみろ!」
「虹村君が好き!!」
「なっ、…マジで言うかよ…」



あーもう、今日はつくづくやられっぱなしだ。
いくら誕生日だからって、俺いい思いしすぎじゃねーか?
逆に心配になってきた。



「はぁ、ほんとありえない」
「何がだよ」
「家に帰ってからって言ったのに!」
「好きな女からの手紙なんて気になるだろ!」



ああ、ムリ。
何これ、恥ずかしすぎ。
2人して赤面ってなんなの。
あー帰りてえ。帰りたくないけど帰りてえ。



「バカ」
「お前こそ」



…初恋も意外と叶うもんだな。

なんて思った14歳1日目。






虹村君へ

誕生日おめでとう!
いきなり手紙なんてビックリしたよね。
でもどうしても、口では言えそうにないことがあったので書きました。
虹村君とは中1から仲良くなったよね。
それから毎日楽しくて仕方ありませんでした。
今思えば、あの時から今でもずっと、私の中では虹村君が特別な存在なんだと気付きました。
つまり、私は虹村君のことが好きです。
だけど、これは独り言と思ってこれからも私と仲良くしてください。

より





「あれを独り言と思えるかっつの」








2015.07.10.
Happy Birthday to Syu-zo..
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