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Birthday Novel

第5章 H27.7.10. 虹村修造


「ねぇ、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。全然、余裕」



いや、実際は全然大丈夫じゃない。
だからコッチを見ないでほしい。



「その反応は…好きな人いるってことでいいの?」
「え?!や、うーん…」
「そっか…」



まだ何も言ってないだろ。
けど、確かにこんなに動揺してりゃバレるか。
それにまだ誰とまではバレてないだろうし、大丈夫。大丈夫だ。



「それで私と帰ってていいの?」
「…いんだよ」
「なんで?」
「なんでって…!お前、それは、その、」



うわぁ、我ながら引くわ。
バスケ部の連中にこんなの見られたら終わりだな。
いい笑いものだ。



「そ、そーゆーお前こそ、どうなんだよ」



誤魔化すために話を逸らしたが、よくよく考えたらこの逸らし方はアウトじゃねえのか?
もしこれでいるって言われたら俺はどうしたらいいんだ?
俺はつくづく馬鹿だな…。



「…いるよ」
「えっ」



ほらみろ。
もうこんなん終わったも同然じゃねえか。



「まぁ、もう叶わないだろうけど」
「え、なんで」
「虹村君が話逸らしたから言わなーい」
「なっ…」



あー、これは言うべきなんだろうか。
でも混乱させちまうだろうか。
でも、……



「そういやさ!」
「ん?」
「虹村君、今日誕生日でしょ」
「え…?あ、ああ!」
「自分の誕生日忘れてたの?」
「スッカリ…」



あーほんとだ。
俺、14歳になったんだった。
朝は自分から言ってたから覚えてたけど、もう今はそれどころじゃなくて忘れてた。



「はい、誕生日おめでとう」
「ん?おお… プレゼント?」
「うん。ショボいけど…」
「や、十分だわ。サンキュ」



結構冷静ぶったけど、内心嬉しすぎてニヤけそうだ。
しかも好きな人の手作りクッキーときた。



「ん?手紙…?」
「あ!それは家で読んで!」
「えーどうすっかなー」
「じゃないともう口聞かない!」
「わ、悪りぃって!冗談!」



手紙、か。
これがラブレターだったら最高なのにな。



「お、クッキーうめえ」
「もう食べてる?!」
「腹減ったんだよ」
「…そりゃあ良かったです…」
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