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Birthday Novel

第5章 H27.7.10. 虹村修造


「っあー!部活ねぇとつまんねー!」



俺は今、教室に残り日直の仕事をしている。
もう1人は用事があるとかで帰ってしまった。

期末考査前の今、放課後の学校は静かだ。



「虹村君ってほんとバスケ好きだね」
「あ、」



誰もいないと思っていたら、背後で声がした。
はクラスの中でも特に仲の良い女子だ。
そんで俺の、好きな人。



「何してんの」
「日直ー。そういうお前は?」
「提出物出してた」
「ふーん。あ、もう終わるから一緒に帰ろうぜ」
「いいよ」



中1の時から片想いをしているが、中々言えないでいる。
というのも、仲良くなりすぎて今更どう切り出せばいいかわからないからだ。
我ながらカッコ悪い。



「んじゃ帰るかー」



ドラマとかだったら、川沿いの道、とか夕日が見える河原、とかで告白するものなのだろう。たぶん。
だけど、生憎現在は夏。
夕日どころかまだ太陽が見えているし、川沿いの道なんてのも無い。
ただの人が多い大通りだ。



「そういや委員長とサッカー部のエース付き合ってるんだって。知ってた?」
「え?!あの2人が?!」
「そう、あの2人が。意外だよね〜」
「いや、意外すぎんだろ。てか委員長って恋愛に興味あったのな」
「虹村君それは失礼すぎ!」



こんなとこで告白しろって?
バカじゃねえの。

だからと言って川沿いの道だったら、夕日が出ていれば、告白する。というわけでも無いのだが。



「でももう中2だし、受験で忙しくなる前に恋愛したいよねー」
「あー…」



じゃあ俺と付き合わねえか?


…なんて、なんつー適当な。
それで俺の気持ちが伝わるわけがない。
危うく出そうになった言葉を慌てて飲み込む。



「虹村は好きな人いないの?」
「は?!?!」
「や、こうやって私と帰ってるけど、好きな人いないのかなーって」
「え、や、んー、まぁ…」



飲み込んだはずの言葉が一瞬でリバースしそうだった。
しかし、突然振られて一体どう答えればいい?

今目の前にいます!

なんて言えるはずもなく。



「顔赤くない?」
「あっ!?、かくねぇよ!何言ってんだよ!」
「いやいや、赤い赤い」
「夕日のせいだ!」
「いつのドラマのセリフよ…。てか夕日出てません」
「んぐっ…」



あーあ。
これはもう終わったな。
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