第1章 H27.8.31. 青峰大輝
「おい」
「なぁに?青峰君」
「なんでこんなとこに来てんだよ」
「なんでって…約束してたから?」
「あ?」
青峰が訳もわからず桃井に連れて来られたのは、誠凛高校だった。
「テツに会いてえなら1人で来いよ…」
「別にテツ君だけじゃないもーん」
「はぁ…」
桃井らは誠凛高校の正門で待つ。
その誠凛も登校日だったらしく、男子生徒が門の前にいる桃井を見ては頬を赤らめていた。
しかし話しかける者は1人もいなかった。
そりゃそうだ。隣にこんなにも目つきの悪い長身の男がいれば。
「お待たせしました」
そしてようやく待ち人であるテツ君、もとい黒子テツヤが現れた。
桃井はいつも通り、テツくぅーん!と黒子に飛びついていたが、青峰は特に何を言うでもなくただ立ち尽くしていた。
そしてもう1人、黒子と共に現われた生徒がいた。
「久しぶり、青峰君。さつきちゃんも」
「…よぉ」
「ほんと久しぶりー!元気だった?」
「うん」
その生徒とは、彼らと同じ帝光中でバスケ部のマネージャーをしていたというだ。
今は黒子と同じ誠凛高校に通っており、部活ももちろんバスケ部のマネージャーをしている。
ちなみに、黒子とは小学生の時からの馴染みである。
「で?これは何のつもりだテツ」
「…青峰君の誕生日を祝おうと思いまして」
「はぁ?!」
「そういうこと!」
青峰は『開いた口が塞がらない』状態になっている。
青峰の誕生日は今月末。
今日はその4日前だ。
今月末はもちろん普通に部活があるため、祝えない。
だからこうして部活が休みになった今日を狙って祝うことにしたのだ。
「青峰君は…こういうの苦手かもしれないけど、久々に集まりたくて」
「…ったく、馬鹿かお前らは。ガキか」
「青峰君に言われたくないです」
「テツてめぇ、喧嘩売ってんのか?!」
「あーもーうるさいっ!とにかく場所移動するよ!行こっ、ちゃん」
「あ、うん」
そして賑やかな連中は誠凛高校を離れ、そこから一番家の近い宅に移動した。
ちなみに彼らがそこへ行くのは、今回で2度目である。