第2章 Kaboooooom!!!(爆豪勝己)
「やっぱり変だ」緑谷が口を開いた。「発目さんがここまでするなんて」
「ここまでとは?」
「自分以外の人のためにお願いなんて」
「フフ、それ、すごい暴言じゃないですか」
「でも人助け、って柄じゃないでしょ」
この世は所詮ギブ&テイク!と先ほどの発目のセリフを真似してやった。「与えるならば、それ相応のメリットがなければ!......でしょ?」
「確かに、なまえちゃんの応援をしたって、私には何の得もありませんね」
発目は爛々とした表情を崩さなかった。「私はベイビーたちの素晴らしさをたくさんの人にわかってもらいたいだけであって、人助けが好きなわけではありません。むしろあまり他人は信用してない。だってサポート科はみんながライバルですから。才能を認められ、事務所に所属できるのはクラスの中でも一握り。自分の哲学を追求し、お互いに嫉妬し、出し抜きあって、そして悩みます。けれど私たちは相手ありきで成り立っていますからね。人付き合いと信頼が最も大事です。こうやって私が、アナタの元に通うみたいに」
そう言って大事そうに催涙銃を抱え、ニヒ、と白い歯を見せる。「けど、なまえちゃんは一人だけ違うんです。わかりますか?私たちサポート科はアナタのような、発明品を使ってくれる”誰か”のためにアイテムを生み出すデザイナーです。一方なまえちゃんが望んでいるのは、彼女の夢の具現化だけ。言わばアーティスト。他人とのコミュニケーションは苦手。交渉もご覧の通り下手。競争も嫌う。サポート科には全く向いてないですね。せっかく素敵な個性があるのに、ある意味才能の無駄遣い。だからこそ私は、自分の欲望に忠実なあの子が好きなんです」