第2章 Kaboooooom!!!(爆豪勝己)
爆発という現象が好き。
その簡潔な説明の意味は飯田も理解することができた。しかし、残念ながら共感には至らなかった。「んんん?」と唸っている間にも、なまえは爆豪の両手を固く握りしめ、恍惚の表情で口説き続ける。
「確かに火薬に火をつけて焦げ跡で芸術作品を作る人はいます。でも私が求めているのは爆発そのもの。あの振動、爆音。灼けるような熱さ、焦げるような匂い」
ああぁ考えるだけでゾクゾクしちゃう!と潤んだ瞳で宙を見る。「いつか理想の爆発をこの手で……その夢を叶えるために、私はこの高校のサポート科に入学しました。開発工房は頑丈ですから、いくらでも爆破実験ができます。でも閉じ籠っていたって理想は実現なしえない!あの日体育祭で一目見た時から、私はアナタの虜です。爆豪くん、あなたこそ私の理想に最も近い」
「サポート科って、こんな人ばっかりなん?」あっけらかんと麗日が尋ねる。
「こんな人とは?」と発目が不思議そうに聞き返す。
「その、発目さんと同種というか」
「私と?」
「えぇと……」
「自分の好きなことに熱心というかさ」緑谷が代わって言葉を続けた。「はっきり言って、オタク気質と言いますか」
あぁ、と発目はようやく納得して、屈託なく笑った。「でも、その大きなくくりで言ったら」目の前に人差し指でぐるりと大きな円を描き、「アナタたちも同類ではないですか」と緑谷を指差す。「ヒーローオタク」
「まぁ、否定しないけど」
「ですよね。でも、細かく分類しちゃえば」指先がひょいとなまえの方へ向いた。「あの子は私たち量産型サポート科とは全く違うタイプですね」