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午睡 - 僕のヒーローアカデミア

第2章 Kaboooooom!!!(爆豪勝己)




「アナタに用があるんです。是非とも紹介したい子がいまして!」

「サポートアイテムにゃ興味ねぇけど」

「ノンノン、私のベイビーじゃないですよ。れっきとした人間です!はーいどうぞ見てくださいこちら!」


ババーン!と両手を広げて背後を示す。息を飲んで注目していた教室中の面々が、その、何もない空間を見つめ、首を傾げる。



「……透明人間か何かか?」

「あれっ?どこに行ったんでしょう」


「発目さん、教室に入った時から一人だったよ」

押し付けられた催涙銃をじっくり眺めていた緑谷が顔を上げる。「なんと!」と大げさなリアクションを示した発目はそれを奪い取り開け放たれた教室のドアの向こうすなわち廊下へとガシャコン、銃口を向けた。

「敵前逃亡は重刑ですよ!」


そこからの周囲の対応は流石ヒーロー科の生徒と称賛されるべきだろう。引き金に指をかけた発目を止めるのは間に合わないと一部を除きほぼ全員が咄嗟に判断。瞬時に射線上の全ての人間と机が脇へと退避。つまり可能な限り被害を最小限に抑える事を徹底した。おまけで「ぶっぱよろ!」「ファイア!」の上鳴と芦戸の賑やかし付き。




かくして数十秒後、煙幕に包まれた廊下から、女の子がひとり救出されることとなる。どうやら教室に入れずドアの陰に隠れていたようで、「今日が職員会議の水曜で良かったですわ」と換気の窓を全て開け終えた八百万(with防ガスマスク)に引きずられるように運び込まれた。そのまま発目と爆豪の間に、箱ティッシュのお裾分けと共にお届けされる。



「私と同じクラスのなまえちゃんです」
どうですか爆豪さん?と発目は弾んだ声を出す。「とってもキュートでしょう?」

「どうって……言われても」


爆豪は椅子に座ったまま眉をひそめて、なまえ、と紹介された女子を見下ろす。制服姿の彼女は催涙ガスをまともに吸い込んでしまったようで、床にへたり込んでいる。喋りたくともぐずぐずと泣きながら鼻をかむので手一杯らしい。


「特に興味ねーけど」

「アナタはないかもしれないですけど!」

発目は興奮した口調で身を乗り出した。「この子はアナタに用があるんです!ほら、なまえちゃん。爆豪くんですよ」
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