第5章 炎のゴブレット
「ケイン様、ご到着しました。ここがマルフォイ様の館でございます。」
「や、やっと………ついた………」
友達のうちに行くのってこんなに大変だったんだ……………。ちょっと、この後のロンたちの家に行くのが億劫になってきた。
「…………わかってますね?着いたらまずは……」
「御当主であるマルフォイさんにご挨拶したあと、ドレスのひだに気をつけてお辞儀するんですよね。」
私は先ほど叩き込まれたことを言う。指導担当の女の人は満足そうに頷いた。
「こんにちは。イヴ・ケインと申します。本日は御招待まことにありがとうございます。マルフォイさん。」
「初めましてケイン。ドラコから君の話は聞いているよ。優秀だそうで。ドラコがいつも世話になってるようだね。さて、堅苦しい挨拶はやめにしてお腹がへっただろう?食事にしよう。」
マルフォイに似た男の人。この人がお父様みたい。隣で優しそうに微笑んでいる人はお母様のほうかな。
「…………ドラコ。ぼさっとしてないで、エスコートしてあげなさい。」
お母様の隣でぼーっとしていたマルフォイが慌てて私に手を差し出す。私はしっかりと予習済みだったので、その手を軽く掴む。
「………どういうこと?なんか未来の奥様とか言われちゃったんだけど……」
小声でマルフォイに聞く。
「…………いや、その、勘違いしたみたいで………」
しどろもどろで言うマルフォイ。
「もう、どんな話をしたの?まさか悪口とか言ってたりとか!ぶすとかでぶとか……」
「違う!」
首を振って否定するマルフォイ。
「た、大切な…………友人を………そんな風に言うものか!それに君はブスでもデブでもない。…………き、綺麗だ……」
柄でもないことを言うマルフォイ。耳まで真っ赤だ。私は笑いながら、
「ありがと。お世辞でも嬉しいよ」
と微笑んだ。