第4章 シリウス・ブラックとの出会い
ドサッ!
暴れ柳の上から何かが落ちてきた。見ると、枝やら服やらだった。上を見るとネズミが一匹。ペテグュリューだ。ペテグュリューは小さな体を揺らし、枝や少ない葉を落としていく。
「ウオオオオオン!」
それを攻撃だと勘違いしたルーピン先生は、わたし達を威嚇する。
「い、イヴーー!!」
このままだと真っ先に攻撃されるのは、怪我を負ったロンか気絶中のスネイプ先生だ。私はルーピン先生に向かって、杖を向けた。
《アグアメンチ》
顔に吹きかける程度の水を出し、崖の方へと走り出した。
「イヴ!!」
思ったとおりルーピン先生は一瞬怯みそして私を追いかけ始めた。ハーマイオニーたちから少し離したところで立ち止まり、ルーピン先生の体を拘束する呪文を出すが、ルーピン先生の動きが思った以上に早い。私は先生の足元に沼を作り、周りの木々を使って拘束しようとするが時間の問題だろう。
ちらっとハーマイオニーたちを見ると、ハリーがいない!?
突然腕に鋭い痛みを感じた。気を取られた瞬間にルーピン先生から引っかかれたらしい。ルーピン先生の顔がすぐ近くに来ている。
しまっ………
「「イヴ!!!」」
「ウォンウォン!!」
私の後ろから飛び出してきた一匹の犬がルーピン先生に噛み付き、私はハリーとスネイプ先生の腕の中にいた。
「………スネイプ先生よかった目覚められたんですね。ハリー、みんなといなくちゃだめじゃん。」
二人とも顔が真っ青。
「狼人間相手に無茶しないでよ!!大丈夫?噛まれてない?って怪我してるじゃないか!!」
「ケイン、見せてみろ。…………噛み傷ではないな。だが、少々深い。ここから離れるぞ」
「………先生、シリウスが………」
犬と人間サイズの狼では分が悪いのは明らか。それにシリウスは怪我をしている。
「………シリウス!!」
ハリーが走り出した。
「戻ってこい!!ポッター!」
スネイプ先生が後をおうが、先ほどの気絶したときに足を捻っているらしくうまく動けないようだ。
「うおーーん!!」
そのとき狼人間の遠吠えが少し遠くから聞こえた。誰か分からないが、ハリーたちを助けようと真似したのだろう。狼人間は群れを好むから。だが、そんな距離ではすぐに追いつかれてしまう。私は痛みで気を失いそうになりながらも、必死でその声の方向に足を進めた。