第2章 再会
「おはようございます」
私の普段の出社は8時。でも今日は取材が入っているため、1時間早い7時に出社。鍵当番の遠野さんはもう来ている
「櫻庭、取材の時間変更になった」
「何時になったのですか?」
「9時だったのが10時になった」
「分かりました。10時ですね」
「悪いな。ついさっき電話がきたんだ」
「大丈夫ですよ。報告、ありがとうございます」
私はそう言うと自分のデスクに座った
昨日の夜嵐について更に調べ、顔と名前は一致するようになった。まだ声ではわからないけど…
「櫻庭さん。名前、覚えられましたか?」
時間ピッタリに出社した由佳さんに聞かれた
「はい、まぁ」
「…きっとカッコイイんだろうなぁ」
私の話は聞いていないようだ
「私、嵐さんには会ったことなくて。櫻庭さんが羨ましいです」
「仕事ですから」
「仕事でも羨ましいです」
「櫻庭、ちょっと今いいか?」
「はい。…ごめんね」
丁度いいタイミングで上司が話しかけてきた。一応、感謝しておこう
「話し中だったのに悪いな」
「全然、大丈夫ですよ」
「そうか。取材の時間の変更は遠野から聞いたよなな?」
「はい、10時ですよね」
「そうだ。まぁ櫻庭なら心配ないと思うんだが、相手は時間が前後する仕事をやっている人だ。そして時間を無駄にできない。だから早めに行ってくれ」
「分かりました」
「悪いな。じゃあ、仕事についてくれ」
そう言うと上司はデスクへ戻った