過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン R18】
第2章 良い夢(R18)
ポタリとナナシの頬に雫が落ちる。
ナナシにもそれがエルヴィンの汗ではない事はわかっていた。
「エルヴィン・・・・何故泣いているの?」
エルヴィンは嬉しそうな顔で泣いていた。
大粒の涙を隠そうともせず、静かにそれを零し続けた。
「・・・っ・・・うれ・・・しくて。君の・・・本心が聞けて・・・・」
子供のように泣きじゃくるエルヴィンの頭を抱き寄せて、
ナナシはその頭を撫でた。
「うん・・・今だけの・・・・夢だから。
明日になったら・・・もう二度と言えないから・・・」
「あぁ、そうだったね。これは夢だったね。なんて良い夢なんだろう・・・・」
ナナシが繰り返し言う『夢』という言葉を、
エルヴィンは正しく理解している。
ただの幻という意味ではない。
今まで押し殺してきた気持ちを解き放つ願望を叶えた『夢』なのだ。
明日になればその夢のような時間も終わってしまう泡沫の逢瀬。
この時間が永遠に続けば良いのに・・・の願うものの、
『夢』という線引きをしなければ辛くなるのはどちらか。
置いていかれるエルヴィンか、置いていくナナシか・・・・。