過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン R18】
第2章 良い夢(R18)
エルヴィンとしては調査兵団団長が色恋に現を抜かす訳にもいかず、
ナナシとしても何事も無かったかのようにしていなければ
多方面に色々と面目が立たない。
これで良いのだとお互い自分を納得させるのに苦労する。
「ナナシ・・・俺の名前を呼んでくれ」
「エルヴィン」
「もう一度」
「エルヴィン」
「もっと・・・お願いだから、君の声でもっと名前を呼ばれたい」
「あぁ、仕方の無い坊だな。エルヴィン」
「・・・・うん。俺は君に子供扱いされる事が・・・
実は嫌いじゃないんだ。だって君は他の連中には
『坊』なんて呼ばないだろう?それが特別な事のように
思えて嬉しかったんだ」
「ふふっ・・・」
ナナシは嬉しそうに破顔した。
その幸せそうな顔を見てエルヴィンも同じく破顔する。
「もう泣き止んだのか?お主の泣き顔を見るのは好きではなかったが、
今の泣き顔は好きだと思えた」
ナナシが指でエルヴィンの涙を拭うと、彼はその手を捕まえて
チュッとキスを落とす。
「あの時は・・・君が死んでしまうと・・・」
「そうだな・・・」
ナナシは力無く笑うと、急に咳き込んだ。
エルヴィンはハッとしてナナシの中からイチモツを抜き、
苦しそうに咳き込む彼女の背中を擦る。