第1章 タイムスリップ
時間にしてどれくらいか
正確には分からないけれど夕刻になる前に大将は戻った、らしい
らしいと言うのは何でも帰ってきて早々また脱走したから
今度はこっそりとではなく堂々と走って
…大将何時からそんな元気になったんですか
何だか人柄変わったな、と人伝ながらにそう感じた
「それに、ほれ。このような奇妙な着物を」
平手さんが扇子で示した先にあったのは私の乏しい記憶の中で兄が着ていたものとそっくりな着物
いや、着物と言うべきではないだろう
それは、洋服でしかも、ある一部の人が着るもの
私は遂に着ることは無かったけれど
「こ、れ…」
所謂、制服というものだった