第1章 タイムスリップ
恒興ちゃんに引き摺られるようにして戻ってきた大将
どう見ても、私の大将じゃない
だって、あんな格好しない
あんな表情しない
あんな、元気じゃない
じゃあ誰だと聞かれてもそれはそれで困ってしまうのだが
隣の平手さんも恒興ちゃんも大将だと思っていて
確かにそう思えるほどに顔は似ているけれど
「…えと…たい、しょう?」
首を傾げる私に平手さんも溜息をつく
「宮からも若へ申してくだされ」
視線を泳がせる私に大将と同じ顔の人物は口を開く
「誰?」
大将ではない
そう思っているのに大将そっくりの彼から出たその言葉に気絶するように倒れてしまった