第3章 兄弟
大将今頃何処にいるのかな…
ぼんやりと考え事に身を興じているといつの間にやら恒興ちゃんは何処かへ行っていた
「置いて行かれた…」
少しショック…
平手さんの視線を感じながら恒興ちゃんを探しに歩く
無駄に城は広い
何でこんな広いんだか
無意識に悪態をついてしまうけれど私は悪くないと思うんだ
どのくらい歩き回ったか
時計がないのはこういう時に不便なのだが恐らく数分、といったところか
偶然通りかかった部屋からは殿と恒興ちゃんが出てきた
「お?宮ちゃーん」
やっほー、と私に向かって手を振るサブローは殿らしき威厳など微塵も感じない
何だ、あいつ
曖昧に微笑んで軽く手を振り返す
「殿、何処に要らしたのです」
「んや、寝てた」
…寝てた、って
笑顔が引き攣った
「あ、そうそう。宮ちゃんも行かない?」
「…何処に?」
「教科書探しに」