第3章 兄弟
「確かここら辺に落ちたんだよな、俺…」
ガサガサと草をかき分けるサブローに何とも言えない
恒興ちゃんと顔を見合わせた
「ねー、俺のバッグどっかにないー?」
サブローのその言葉に恒興ちゃんは眉を潜めて首を傾げる
「ばっぐ、とな?」
「そー。知らない?」
「…殿…私達はどのような物か知りませんので」
この時代にそんな物あればすぐ分かりそうではあるけど
「そだよね…あ!ねーねー、みんなー」
村の人だろうか
三人ほどが集まって何やら話し込んでいる
そこへサブローが割り込んでいく
殿様には全く見えない
「妙なものが」
村人の指差す方を見てみればそれこそがそうなんだろう
ひどく久しぶりに見たバッグは泥を被って汚れていた
「おー、マイバッグ!」
カタカナ発音で言えばバッグを持ち上げる彼に村の人も恒興ちゃんもそんな奇妙な物を、と慌てた