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狐薊❪信長協奏曲❫

第2章 殿



目的地へ着いたらしい前方の馬は数歩進んで止まった
馬の扱いに慣れているのかサブローの自然な動き
……馬、乗れるように練習しないとな
自転車というものがないこの時代、遠くへ行くには歩きか馬しかないのだ
誰に教わろうかと思考を巡らせていると先に降りた恒興ちゃんが私の方へと手を差し出した

「え?」
「降りれないでしょう、どうせ。一人では」

何処か馬鹿にしたような口調だけれどこれが彼の優しさなんだろう
そう感じさせる行動に笑みが浮かぶ

「素直に優しく言ってくれればいいのにねー」

やっと落ち着く地面へと足が着いた
サブローと帰蝶さんは川の方に居るらしい
…まあ、確かに暖かいけれど
夏じゃないんだから川遊びにはまだ早いんじゃないの?
楽しそうな二人に言う気はないけど
サブローと帰蝶さんばかりに気を取られていた私は何処か視線をさ迷わせる恒興ちゃんには気がつかなかった
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