第2章 殿
「どこ行くつもりなのかな…」
ちょくちょく、遊びに行っているらしいのだがまだこのあたりの地形なんて分からないだろうに
ぱからぱからと馬を走らせるサブローに迷いは感じられない
「…宮」
前に乗る(というよりも私が無理やり後ろに乗った)恒興ちゃんが何処か冷たく私の名前を呼んだ
「なに?」
「なぜ着いてくるのか、等とは今更だから問わんが…殿に対する態度すらも変えたのか?」
近くに川があるんだろうか
あまりこっちは来ない、というよりも私も城の外に出ることがほとんど無いので分からないけれど
心地好い風が吹いた
「い、やだなぁ。尊敬してるし大好きなのに変わりはないんだよ?」
嫌な汗が頬を伝った
恒興ちゃん、どっか可笑しくない?
「そうか」
そうは見えぬが
後ろからでは彼の顔なんて見えない筈なのにぞくりと背中が泡だった