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〜Lemon Candy Story〜

第12章 -初恋-(二口堅治)


-二口side-


「すみれが見てると集中できないとか
迷惑とか…それって何?」


すみれはオレが待っていたことに
戸惑っていたようだったが、
オレに対して昨日より少し
雰囲気が柔らかくなったように感じ、
オレは1番気になっていたことを
迷わずに聞いた。


今聞かないと、
もう一生すみれと話せない気がした。


「……。」


すみれは黙って俯いてしまった。


「…‼︎なんで何も言わねーの?
オレ、そんなこと言った⁈」


思わず問い詰めるように、
またキツく言ってしまう。


…悪い癖だな。


「…言ってた。」


下を向いて黙っていたすみれが、
小さい震える声で突然言った。


「な…⁈言ってねーよ‼︎」


「言ってた‼︎中3の時‼︎教室で‼︎」


あまり聞くことのない
すみれの大きな声…。


「すみれに言ったのか?」


オレのことばに
すみれは首を横に振る。


「たぶん…バレー部の人たちと…
教室で話してた…」


…⁈


今のすみれのことばで、
オレは1つだけ思い当たることがあった。


「それって…原田が…すみれが
オレのこと好きだとか言ったときか⁈」


すみれはハッとしたように
小さく頷いた。


「廊下で…聞こえちゃって…」


「おまえ…どこまで聞いてんだよ?」


どこまで聞いてたかによって、
すみれのこれまでの
反応の意味が変わってくる。


「原田くんが…わたしにだけ
堅治くんはやたらキツいって…」


すみれは泣きそうになっていた。


はぁ…よりによってそこまでかよ⁈


「それ…話の途中だよ…」


「え…?」


その時のオレらの会話には、
まだつづきがある。
そこで終わりじゃない。


*--------


『別におまえに関係ねーだろ⁈』


1年の頃からすみれのことで
オレをからかうのはバレー部の奴らの
鉄板ネタだった。


だが、その日はいつもと少し違った。


『じゃ、オレ狙ってもいいー?』


オレが不機嫌になると原田が突然言った。


『何言ってんだよ⁈』


『だって檜原って可愛いじゃん。
なんかおとなしくて女のコらしくて。』


『あー!わかるわかる。』

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