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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


「あ、戻ってきた。あかーし、会計〜」


席に戻って黒尾さんに声を掛けられ、
ハッとする。


「京治っ…」


わたしの座っていた席に岩泉さんがいたから…


京治はずっと手を放してくれなかったけど、
席に戻って黒尾さんに声を掛けられ、
さすがに手を放してくれた。


岩泉さんに…見られたかな…
ううん…別に見られても何も…


「今日は大丈夫そうだな?」


1人で色々考えてると
岩泉さんに声を掛けられた。


「え?」


「こないだは寝ちまうくらい酔ってたけど、
今日は起きてるしな。」


「毎回寝るわけじゃないですー!」


「そうだったか?」


色々テンパってたはずなのに、
岩泉さんと話せるだけで嬉しくなってしまう。


「たしかに今日は赤くねぇな。」


横から黒尾さんまで言ってくる。


「その節は…ご迷惑お掛けしました…」


「よろしい(笑)気を付けろよ〜?」


「すみれ、それ何杯目?」


黒尾さんが笑いながら
わたしの頭を軽く撫でると、
わたしが座っていた席に置いてある
飲みかけのピーチフィズを見て
京治が話の間に入ってきた。


「4…5杯目…くらい?」


「はぁ…何やってんの。飲み過ぎ!
とりあえず水飲んで。」


「ありがと。
でも、今日は全然酔ってないよ。」


今日は気持ち悪くないし、
眠気もないんだけどな…


「顔に全然出ないからって量飲む時は、
帰りに1人になる頃、
時間差でよく貧血起こしてただろ?」


「それは…たまにあるけど…
今日はほんとに大丈夫だってば!」


「そう言って、電車で座り込んだコト、
何回あった?」


「…」


数えられないので、
それ以上京治に何も言えなくなる。


「送ってくから。今も実家?」


「え⁈大丈夫だよ。そんなの悪い…」


「倒れられるより全然いい。」


「あかーし、オレが送るから。」


京治との会話に黒尾さんが入ってきて、
わたしは黒尾さんに引き寄せられた。


「黒尾さん⁈」


「檜原んち隣駅だからオレら帰り道一緒なの。
だから、ウチのお姫様はオレが責任持って
お送りします♪」


黒尾さんのことばに
京治が一瞬顔をしかめたのが見えたけど、
わたしと黒尾さんの横で岩泉さんまで
表情を曇らせていたことには、
わたしは気づいていなかった。

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