第12章 -初恋-(二口堅治)
-すみれside-
昨日の…堅治くんのことば…
あれはどういう意味だろう…?
『なんで中学ん時の最後の試合、
観に来なかったんだよ⁈』
なんでそんなこと聞くの⁇
迷惑だったんじゃないの…⁇
わたしはあれから、
堅治くんのことばかり考えていた。
今日のラッキーアイテムはハンカチ。
せっかく今日のは軽いのに、
お気に入りのハンカチは、
昨日使ってしまった。
堅治くんが持っている。
きっと…返してくれるとしても、
おばさん経由だよね。
おうちはお隣だけど、
気をつけていれば、
堅治くんには会わなくてすむはず。
そう思うのに、心のどこかでは、
堅治くんに会いたいと思っていた。
それに…昨日堅治くんと話して、
心の中で小さくなった…
小さくした気持ちが、
また大きくなってきていた。
堅治くんのバレーが見たい…!
*--------
堅治くんの本音を聞いてしまってから、
わたしは堅治くんと話すのが、
怖くなってしまった。
元々口も悪いほうだし…。
そんな時にバスケ部の平岡くんに
告白された。
『檜原のコト好きなんだ‼︎』
平岡くんは優しくて、
堅治くん以外の男のコとは
あまり話せなかったわたしも、
平岡くんとはすんなり話せた。
でも…
『…ごめんなさい。』
わたしは平岡くんの告白を断った。
『ごめんな、急に。』
『あ…ううん…』
『なぁ…一つだけ
オレのお願い聞いてくれないか?』
『え…?』
『オレの最後の試合観に来て!
頼む‼︎このとおり‼︎』
平岡くんに真剣に頼まれて、
告白を断った引け目もあり、
わたしは試合を観に行く約束をした。
バスケ部とバレー部の試合が
同じ日だということは、
あとから知った。
--------*
堅治くんの試合を観る機会は
もうないだろうなぁ…。
塾の帰りにそんなことを考えて
電車をおりる。
いつもの癖で、
自転車置き場へ行きそうになるが、
今日は自転車がないコトを思い出し、
慌てて歩く方向を変える。
…っ⁈
「今、自転車置き場行こうとしたろ?
バカだなー。」
方向転換した目の前には、
堅治くんがいた。