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〜Lemon Candy Story〜

第12章 -初恋-(二口堅治)


-二口side-


「おまえ…
バレー嫌いだったんじゃねーの?」


「え…?」


「バレーっつぅか、
オレのコト嫌いだろ?」


もうお互いの家の目の前だったけど、
オレは今まで聞けなかったことを
ついすみれに聞いてしまった。


ガキの頃からいつも…
練習試合でもなんでも、
オレが出る試合は、
必ずすみれは観に来てくれていた。


でも、中3の最後の大会…。


すみれは観に来なかった。


その日…すみれは
バスケ部の試合を観に行っていたと
あとからバスケ部の奴に聞いた。
バスケ部にすみれのコトを
好きな奴がいて、応援に来るよう
必死にすみれに頼みこんだらしい。


いくら頼みこまれても…
今まではオレの試合を
いつも優先してくれていたのに…。


すみれはその頃から、
オレと話す時、目を見なくなり、
オレが話し掛けても、
だんだんビクつくようになった。


「嫌いじゃ…ないよ。」


…っ⁈


すみれのこたえに
オレは思わず目を見開いてしまう。


それって…バレーのコトか⁈
それとも…⁈


「じゃあ、なんで…⁈」


オレは思わずチャリを置き、
すみれの肩を両手で掴んだ。


「…っ⁈」


すみれがビクッとしたのがわかった。
でも、そんなの構ってらんなかった。


「なんで中学ん時の最後の試合、
観に来なかったんだよ⁈」


「え…⁇」


すみれは驚いたように顔をあげ、
泣きそうな表情でオレを見つめた。


「だって…」


「”だって”なんだよ⁈」


ついキツい口調で言ってしまう。


「…っ⁈わたしが観てると
集中できないんでしょ⁈
迷惑だったんでしょ⁈だから…」


すみれ…何言って…⁈


「なんだよ、それ⁈」


「すみれか?それに…堅治くん?」


突然後ろから声がして、
すみれから手をはなして振り向くと、
仕事帰りのすみれの親父さんがいた。


「あ…こんばんは。」


「やっぱり‼︎大きくなったなー。
すみれを送ってくれたのかい?
ありがとう。」


「あ…いや…」


「お父さん…自転車…しまっといて…」


…⁈


すみれはそのまま家に入ってしまった。


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