第2章 -瞬間-(花巻貴大)*
ファミレスの中に入ると、
偶然にも今日案内されたのは、
初めて会ったときの席だった。
わたしたちはメニューも見ずに、
いつものものを注文した。
待っている間、
お互いの学校の話や、
昨日までメールで話していたコト、
他愛ない話をする。
「そういや、
初めて会った時もココだったな♪」
話が途切れた瞬間、
花巻くんも同じコトを
思っていたらしく、
二カッと笑ってわたしに言った。
「うん!わたしも思ってた!」
「もう3ヶ月前なのかぁ。」
話の途中で注文していたものがきた。
このファミレスで、
2人ともお気に入りのシューパフェ。
パフェにミニシューが
たくさん乗ってるだけなんだけど、
ココのシューがとても美味しい。
わたしは今日も裏メニューで、
ミニシューをイチゴに変更した。
花巻くんは普通のを頼むので、
2つずつ花巻くんと交換するのが、
いつのまにかお決まりになっていた。
「はい♪入れていい?」
口を付ける前にミニシューを取り、
花巻くんのパフェに乗せた。
「ありがと♪
そいや、初めて会った日、
”あ〜ん”てしてくれたよな♪」
「…っ⁈あ…あれは…っ。」
一緒にいた凛がふざけて、
『あ〜んてしてあげたら?』
と突然言うので、
わたしが戸惑っていると、
花巻くんが突然わたしの手を引き、
そのままシューを食べたのだ。
それだけのコトだけど…
わたしはその瞬間を思い出すだけで、
真っ赤になってしまう。
「あの時、ほんとはイヤだった?
オレ、ちょー気になってて。」
花巻くんは
ジッとわたしの顔を見ていた。
「えっ⁈イ…イヤとかじゃ…。
ちょっと…恥ずかしかっただけ。
花巻くん、急にするんだもん!」
「あはは。ゴメンゴメン。でも、
イヤがられてなくてよかったぁ。」
「イヤだったら、
その後メールしてないし、
会ったりもしてないよ。」
「そっかぁ。」
「うん!
花巻くんと話すの楽しいもん。」
わたしは素直に花巻くんに言った。
「…っ⁈じゃあさじゃあさ!」
「なぁに?」
「今日は逆♪」
「え…?」
「オレがしたげる♪はい♪あ〜ん♪」
「えっ⁈花巻くんっ⁈」
どぉしようっ…
こういう時…どうすれば…っ⁈
「あ…っ…えっ…⁈」
パクン…
…っ⁈