第2章 -瞬間-(花巻貴大)*
テンパっているといつのまにか
わたしの口の中に
シュークリームが入っていた。
イチゴではなく普通のクリーム。
いつも食べるのより、
すごくすごく甘く感じた。
「どう?美味しい?」
ただただ真っ赤になる
わたしとは対照的に
花巻くんはケロッとしていた。
「お…おいしいけど…。」
…なんだか悔しいな。
わたしばっかりドキドキしてる。
「…けど?」
「また…急にするんだもんっ!
その…ビックリするし、
えっと…あの…心の準備が…っ。」
「あははっ♪やっぱり
すみれちゃん、可愛いな♪」
…っ⁈⁈
「もう…。
花巻くん、からかいすぎだよ…」
嬉しい…けど、社交辞令…?
深い意味はない…んだよね…
「…本気なのにな。」
「えっ⁈あ!なぁに?」
花巻くんがボソッと何か言ったけど、
ちゃんと聞こえなかった。
「な〜んでもないっ♪
ほら、早く食べよっ。」
その後はシューパフェを食べながら
また普通にいろんな話をした。
あっという間にパフェも食べ、
ドリンクバーでねばるには、
ちょっと長居しすぎてしまった。
「んじゃ、そろそろ行くか。」
「うん。」
でも、もっと一緒にいたいな。
ファミレスを出て、
一緒に駅までの道を歩く。
「そいや、駅の反対側に
新しいスポーツショップ
できたんだってー。
オレさ、ほしいもんあるんだけど、
すみれちゃん、
来週付き合ってくれない?」
「うん!いいよ!」
やった♪来週も会える♪
しかも、よく考えたら、
ファミレス以外で会うの初めてだ。
「あれ?マッキー‼︎」
…?
1人でニヤニヤしていると、
花巻くんを呼ぶ男のコが
向かいから駆け寄ってきた。
やたらカッコいい人…。
花巻くんと同じ制服ってコトは、
青城の花巻くんのお友達かな。
「クソ川!急に走んな!」
その後ろから男のコが2人…
ちょっと怖そうな人と…
あれ?もう1人は一静くんだ。
「げ…。」
…?
花巻くんはちょっと嫌そうな顔をした。
「ちょっとマッキー!
用事あるってデート⁈どういうコト⁈」
あ…お友達に…
わたしといるトコ見られるのが…
イヤだったのかな…
「しかも可愛いし!
しかも桜川女子のコじゃん!
及川さん、聞いてないよっ!」