第2章 -瞬間-(花巻貴大)*
凛の彼氏…一静くんの友達の
花巻くんを紹介してもらって、
あっという間に3ヶ月たった。
花巻くんに出会うまでは、
週のはじめの月曜日なんて、
めんどくさくて
好きじゃなかったけど、
わたしは月曜日が大好きになった。
花巻くんに会えるから。
今日はまた月曜日。
いつものファミレスの前で、
わたしは花巻くんを待っていた。
初めて会った日は、
凛と一静くんも一緒だったけど、
HRが長引き、
わたしと凛は遅れてしまい、
2人を待たせてしまった。
でも、わたしが頭を下げると、
花巻くんは二カッと笑ってくれた。
わたしはその笑顔が忘れられない。
一目惚れの瞬間…だった。
それから、ほぼ毎日メールをして、
花巻くんが部活オフの月曜日は、
すっかりお決まりになった
初めて会ったファミレスで、
一緒にシューパフェを食べる。
凛に言わせると、
「それってもう
付き合ってるじゃん♡」
…なんだけど、
そんな話は1度も出たコトがない。
花巻くんはバレーもうまいし、
カッコいいし、優しくて話しやすい。
…モテると思う。
中学から女子校だったわたしは、
男友達などほぼ皆無で、
どうやって話せばいいか
わからなかったり、
ちょっとした冗談にも
真っ赤になっちゃって、
うまく返すコトができない。
嫌われてはないと思うけど…
わたしのコト…どう思ってるのかな。
最初はメールをしたり、
週1回会っていろんな話をするだけで、
満足だったし、幸せな気持ちだった。
だけど、だんだん、
もっと花巻くんのコトが知りたい…
もっと花巻くんと触れてみたい…
そんなコトを思うようになっていた。
ピロン♪
スマホを見ると、
『駅着いた!ゴメン!
ちょーダッシュするから、
もう少し待ってて!』
花巻くんからだった。
わたしの好きな
ウサギのキャラクターが走っている
スタンプも一緒に送られてきた。
『大丈夫だよ。
焦らないで来てね(^^)』
わたしもメッセージと一緒に
ウサギがOKと言っている
スタンプを送る。
花巻くんが走るなら、
あっという間だなぁ…と思いながら、
わたしは柱の影に行き、
こっそり色つきリップを付け、
また元の場所に戻ると、
少しして花巻くんが来た。
「ゴメン。待たせたよな。」
「ううん。大丈夫だよ。」