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〜Lemon Candy Story〜

第12章 -初恋-(二口堅治)


-二口side-


*--------


『堅治くん!ダメだよ〜。
またおばさんに怒られちゃう!』


『すみれはビビりだなぁ。
それくらいで怒られっかよー!』


『お砂場で遊んだんだから、
ちゃんと手を洗って拭かなきゃ!
ハンカチもちゃんと
持ってこなきゃダメだよ〜?』


ガキの頃、砂場で遊んだ時の
お決まりのやり取り…。


オレはいつもわざと
ハンカチを持っていかなかった。


そうすると必ずすみれが
オレの手を拭いてくれるから。


--------*


すみれは自分からしたくせに
ビクついて謝りながらオレから離れた。


「コレ、洗って返すから。」


オレは咄嗟にすみれから
ハンカチを奪った。


「え⁈いいよ。ハンカチくらい…」


「いいから‼︎ほら!行くぞ‼︎」


すみれはますます
困惑しているようだったが、
それ以上文句を言わせないように
オレはすみれのチャリを引いて歩き出した。


でも…


すみれはチャリを挟んで、
オレの隣を歩く。


どんだけイヤなんだよ…。


「おいっ!」


「…っ⁈なぁに⁇」


「おまえ、こっち‼︎」


オレは車道側へ行き、
すみれの隣に移った。


「え…⁇あの…」


「車道!ひかれたいの?」


「え…?」


すみれは困惑して
ポカンとしながらも、
一応納得したようだった。


「…ありがとう。」


…っ⁈


「別に…。
おまえ、運動神経ねーし、
車にひかれちゃ困るからなー。」


嬉しさを隠したくて、
オレはまた悪態をついた。


「…っ‼︎」


でも、すぐに後悔した。
すみれはまたビクッとして、
黙ってしまった。


せっかく少し話せていたのに…。


「おまえ…なんで、
こんな帰りおせぇんだよ?」


すみれが黙ってしまったので、
当たり障りのない話をした。


「あ…塾…。」


「ふーん。」


また会話が途切れた。
もうすぐ着いちまう…。


何か話したい…。


そう思っていると、
すみれのほうから話しかけてくれた。


「バレー…頑張ってるんだってね。」


…⁈
すみれのことばは予想外だった。


オレのコトも…バレーのコトも…
嫌いなんだと思ってた。

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