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〜Lemon Candy Story〜

第12章 -初恋-(二口堅治)


-すみれside-


突然現れた堅治くんが、
チェーンを直し始めてくれて…
ちょっと優しいなって思ったのに…


「おい‼︎おまえ、
少し離れて立ってろよ!」


…やっぱり嫌われてるんだなぁ。


怖くて泣きたい気持ちになったけど、
言われた通り堅治くんから離れた。


でも…


「おい‼︎」


「…?なぁに?」


「離れすぎ‼︎危ねーだろー⁈」


「な…っ⁈」


何それ…⁈意味わかんない‼︎


でも、怖いし文句は言えない。
一応、わたしの自転車を
直してくれてるんだし…。


わたしは黙って、
堅治くんの近くで立って見ていると、
堅治くんはあっという間に
チェーンを直してくれた。


「よし‼︎
とりあえずチェーンは大丈夫だな!」


「ありが……きゃ…っ。」


そう言って堅治くんが立ち上がると、
近くにいすぎたのか、
目の前に堅治くんの胸元があった。


少しぶつかって、
抱きつくようになってしまうが、
堅治くんが腕で
変な格好で支えてくれた。


「おいっ‼︎大丈夫か?
オレ、今、手汚れてるから…」


「ううん。大丈夫!あ…コレ…。」


わたしはハンカチを取り出し、
堅治くんに渡した。


「ハンカチ汚れるし、大丈夫だって。」


「ダメだよ。」


「いいって。」


ハンカチを断る堅治くんの手を取り、
堅治くんの指先をハンカチで拭いた。


「もう。堅治くんはいつもそう!
またおばさんに…」


そこまで言ってわたしはハッとして、
慌てて手をはなした。


「あ!ごめ…ごめんなさい!」


わたし…何やってるの⁉︎


あんなに怖いと思ってたのに…
さっき一瞬抱きついて、
ふわりと堅治くんの匂いがして…
一瞬怖くなくなった。


でも、だからって…。


絶対また何か言われる…
怒られる…‼︎


「いや…わりぃ。」


え…⁇怒って…ない⁇


恐る恐る堅治くんを見ると、
堅治くんにパッとハンカチを取られた。


「あ…」


「コレ、洗って返すから。」


「え⁈いいよ。ハンカチくらい…」


洗って返すって…
また会わなきゃいけないじゃん…。


「いいから‼︎ほら!行くぞ‼︎」


そう言うと堅治くんは、
わたしの自転車を引いて歩き出した。


わたしは自転車を挟んで、
堅治くんの隣を歩いた。

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