第11章 -恋心-(及川徹)[後編]
最終的に岩泉が
及川を引き放してくれて、
わたしはやっと及川から解放された。
及川と両想いってわかって…
付き合うコトになって嬉しい…。
でも、明日からのコトを考えると、
少しだけ憂鬱な気も…。
ま、なんとかなるか。
それより間に合うかなぁ…。
及川のせいで時間くっちゃった。
小走りで校門のほうへ向かうと、
黒のジャージ集団を見つけた。
よかった‼︎間に合ったー!
「澤む…⁉︎」
烏野の皆さんの前に、
校門に寄りかかる及川がいて、
何かを話していた。
「インハイ予選はもうすぐだ。
ちゃんと生き残ってよ?
オレはこの…
クソ可愛い後輩を公式戦で
同じセッターとして正々堂々
叩き潰したいんだからサ!」
…っ⁈
「及川っ‼︎もうっ‼︎何やってんのよ⁈」
「すみれちゃんっ⁉︎」
わたしは慌てて駆け寄り、
本人なりの決めゼリフ⁈のあとの
カッコつけて影山くんに向けてる
人差し指をグイーッと下げさせた。
「檜原?」
「「…っ⁈(さっきの…‼︎)」」
澤村含め、烏野の皆さんは、
ポカンとしてこちらを見ていた。
「あーー‼︎大王様の彼女っ‼︎」
…っ⁈
今度はあの小さいMBのコが、
わたしを指差して、
なぜかあたふたしていた。
「えっ⁈いや…っ⁉︎その…‼︎」
そう…なんだよね⁈
そうなんだけど…
さっきなったばっかりなわけで…。
そんな大きな声で言わないでっ‼︎
「チビちゃん、大正解ー♪
及川さんの彼女のすみれちゃんです♡」
そう言うと及川は、後ろから、
わたしの肩に抱きついてきた。
「ちょっ…違うっ‼︎」
「えーっ⁉︎違うのっ⁈
さっき泣きながら…」
「その”違う”じゃなくてーっ‼︎
てゆうか、泣いてないってばーっ‼︎」
わたしは及川の腕の中でもがいて、
どうにか及川から離れた。
「檜原…真っ赤だぞ(笑)」
「澤村、うるさいっ‼︎」
「てゆぅか、すみれちゃん、何しに…⁇
てゆぅか、主将くんと知り合い⁈」
あ…そっか。
さっき澤村に会ったときは、
及川はいなかったんだった。
でも、及川には教えないっ‼︎
さっきから、
あんなに皆の前でうるさすぎっ‼︎
わたしは及川は無視して、
澤村と話した。