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〜Lemon Candy Story〜

第11章 -恋心-(及川徹)[後編]


「アララッ。1セット
取られちゃったんですか⁈」


…っ⁈


ドリンク出し手伝おうかなと思って
立ち上がると、
いつのまにか及川がいた。


「…!おお!戻ったのか?
足はどうだった?」


「バッチリです!
もう通常の練習イケます!
軽い捻挫でしたしね。」


よかったぁ…。
わたしは入畑監督の横で
ホッと胸を撫で下ろした。


でも、やっぱり気まずい。


「キャーッ♡及川さーーん!
やっと来たぁーっ♡」


…。


「まったく…
気をつけろよ、及川。」


あ、今、入畑監督も
一瞬白い目で見てたような…。


「スミマセーン。」


でも、及川は相変わらず
ヘラヘラしている。


とりあえず、
及川と入畑監督が話してる間に…
こっから抜け出そう…。


わたしは少しずつ、
ベンチの横へズレた。


「向こうには『影山出せ』なんて
偉そうに言っといて、
こっちは正セッターじゃないなんて
頭上がらんだろが!」


「え…っ⁈」


せっかく抜け出そうとしてたのに、
思わず反応してしまった。


及川、そんなコト言ってたわけ⁈


「あはは…。」


「及川さん!
無理しないでくださーい♡」


ニコッとして
手をヒラヒラさせる及川…。


あぁ…。やっぱりダメッ。
他の女のコに優しいトコなんか…
見たくないよ…。


でも、このままなら、
及川にバレずに
体育館抜け出せるかもな…。


「やっほー!
トビオちゃん久しぶり〜!
育ったね〜!
元気に”王様”やってる〜?」


及川が影山くんに声を掛けると、
影山くんが固まっていた。


男のコへの声の掛け方まで…軽い。


いや、そんなことしてる場合じゃない。
及川にバレーシューズを
渡さなきゃだけど、
やっぱり気まずいっ…。
こっから抜け出さなきゃ…。


「とにかくお前はアップとってこい!
いつもより念入りにだぞ‼︎」


「はァ〜い。
てことで?すみれちゃん?」


…っ⁈


「アップ付き合ってね?
監督、いいですよね?」


「あぁ。そうだな。檜原、頼むな。」


「あ、あの、でもスコア…」


わたしは少しだけ抵抗した。


「スコア付けられる人は
他にもいるって。行くよー。」


アップ付き合える人だって、
他にもいると思う…とは言えず、
わたしは仕方なく及川のあとを追った。

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