第11章 -恋心-(及川徹)[後編]
-すみれside-
及川に話を聞くって決めたのに、
いざとなるとつい及川を避けてしまい、
休み時間になると、
ひたすら及川に
会わないようにすることだけを
意識してしまっていた。
結局気がつけば火曜日…。
烏野との練習試合の日になっていた。
今日ばかりは
及川に会わないわけにはいかない。
及川のバレーシューズを
預かっているから。
花か誰かに
渡してもらうって手もあるけど、
これは自分で渡さなければいけない…
そう思っていた。
そう思っていたはいたけど、
どうしても及川に会えなくて、
気がつけば放課後…。
女子バレー部は監督の許可も出て、
男子バレー部の練習試合を観るため、
練習が一時中断となった。
わたしは意を決して、
及川を探すことにした。
とりあえず…体育館かな。
第三体育館の裏側から行こうとすると、
前に矢巾と金田一がいるのが見えた。
「烏野っつったら
マネが美人てことくらいしか
覚えてないし。」
「マジっスか⁈」
いやいやいやいや、矢巾よ!
お前はほんっと、
もっと他にも目を向けなさい!
第二のチャラ及川になる気⁈
後ろから声を掛けようとしたけど、
2人の会話を聞いて、
しばらく声を掛けないことにした…が、
「そーなのよ!
ちょっとエロい感じでさ〜」
ムリだった。
「矢巾ぁぁっ!」
「おわっ‼︎すみれさん⁈」
「あぁ…もう‼︎矢巾ぁぁ!
及川の後釜はセッターだけにして‼︎」
「す…すんません!」
「すみれさん、どうしたんすか?」
「ん?ちょっと人探しよ。」
「(及川さんかな…)」
「あ、そういや、話戻るけどさ、
ガラの悪い奴居たな〜。」
あれ?なんか人影…?
それになんとなく騒がしい?
「ねぇ、矢巾…」
「ボーズで目つき悪くてさ〜」
矢巾は話し続ける。
「アッタマ悪そうな顔したー…」
「「⁈」」
うわぁっ…ボーズっ⁈
矢巾曰く”ボーズの目つき悪い奴”が
目の前にいた。
そして、ゾロゾロ
真っ黒ジャージ集団が…。
「あっ…えーっと…」
「…烏野を…あんまナメてっと…」
…っ⁈
「喰い散らかすぞ。」