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〜Lemon Candy Story〜

第11章 -恋心-(及川徹)[後編]


3年の教室は1階でよかった〜♪
まだ誰もいない校舎を一人占めして
ゆっくり歩く。


そこでオレは、
すみれちゃんのクラスの
教室に入っていく
予想外な人物を見つけた。


たしかに彼女もそのクラスだけど…
彼女は帰宅部だ…。
こんな朝早くに何して…⁇


彼女はオレに気付いていない。


オレは足音を立てないよう、
そっと教室を覗く。


彼女は黒板に何かを貼ろうとしていた。


「はーい!そこまでーっ‼︎」


「…っ⁈と…及川くん⁈」


さすがに”別れた”のだから、
”徹くん”と呼ぶのはやめたらしい。


オレが朝から見つけた怪しい人物は、
オレの”元カノ”…と言われている
橋本ゆりあだった。


「なーにしてたのかな?」


「な…なにも‼︎」


彼女が後ろ手に隠すものに気付き、
オレはサッとそれを奪う。


「あ…っ‼︎」


それはオレとすみれちゃんの
キス写真だった。


昨日の空き教室の…。


「やっぱり見てたのキミだったんだ?」


「…⁈気付いて…⁈」


「100%の確信じゃなかったけどね。
それにしても…”彼氏のふり”してた男の
キス写真を黒板なんかに貼って
どうするつもりだったの?」


「…っ‼︎」


そう…オレは彼女…橋本ゆりあの
”彼氏のふり”をしただけだった。


事の発端は4月の始業式直後…
学校帰りに駅前で彼女に遭遇した。


そして、切羽詰まった彼女に
こう頼まれた。


『彼氏のふりをしてほしい』


彼女は大学生の彼氏に
二股をかけられ、
その彼氏に一泡吹かせるため、
協力してほしい…と。


困ってる女のコを放っておけなくて、
オレは彼女の頼みを受け入れた。


だが、その男に会って、
彼氏のふりをしている所を
どうやらウチの学校のコに
見られていたようで、
次の日には学校中に噂が広まっていた。


彼女には、すぐに
『オレには好きなコがいる。
だから、オレを振ったコトにして』
とお願いした。


彼女はそれを受け入れた。


他の女のコから嫌がらせとかあるかな…
とも思ったけど、彼女はそういう
嫌がらせをされるタイプでもない。


そう思って提案したのだが、
まさか自分で何かしてくるとは
思わなかった。


「もう1度聞くよ。どうして
こんなことしようとしたの?」


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