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〜Lemon Candy Story〜

第10章 -恋心-(及川徹)[前編]


午後の授業も部活も、
わたしはまったく身が入らなかった。


及川はなんであんなこと…⁈


「すみれ?大丈夫?
今日なんか変だったよー?」


「すみれ先輩、体調悪いんですか?」


部活帰り…友達や後輩にまで、
心配されてしまった。


「ううん!大丈夫‼︎
ごめんね、心配かけちゃって…」


「何もないならいいけど…
ムリしないでくださいね。」


皆と別れ、わたしは1人になった。


情けないなぁ。


皆に心配されてるのに、
わたしの頭の中は、
及川で埋め尽くされていた。


「おっ!すみれーー‼︎」


ドキッ‼︎


この声…⁈


わたしを呼ぶ声に振り向くと、
岩泉と松川、
そしてわたしを呼んだ花がいた。


「あれ?お…お疲れ!」


花の声がして男バレ3年の
いつものメンバー…
つまり及川もいると思って、
ぎこちなく振り返ったが、
及川はいなかった。


「なんだよ?ぎこちねーなー。」


横に来た花が不思議そうに言う。
花は1年の時同じクラスで、
唯一わたしが
及川のことを好きだと知ってる男子。


けっこうすぐバレた。


「そ…そんなことないよ。
ちょっと疲れちゃったのかな。」


「あ、そういや、昨日サンキューな。
助かったわ。及川の奴、
オレじゃ言うコト聞かねーし。」


前を歩く岩泉が振り返って言う。


「えっ⁈あ…ううん。わたしは…」


「でも、及川、珍しく
ちゃんと練習来なかったよな。」


”ちゃんと練習来ない”ってなんか変…。


「そ、そういえば‼︎
来週の練習試合ってドコとやるの⁈」


わたしは話をそらすために
練習試合のコトを聞くと、
岩泉が教えてくれた。


「あん?烏野だよ。」


「烏野っ⁈」


「ん?なんだよ?」


花が不思議そうにわたしに聞き返した。


「あぁ。中学の友達がいるの。」


「へぇ。バレー部なのか?」


今度は松川が聞く。


「うん。たしか主将なはず〜。」


「んじゃ、
”王様”のコト聞いてみてよ。」


「王様?」


「北一の岩と及川の後輩。」


花の答えにもしかして…と、
思い当たるコトが1つ。


”生意気なクソ可愛い後輩”


「そういやさ?」


「ん?」


「及川となんかあった?」


な…っ⁈花…何言って…⁈

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