第10章 -恋心-(及川徹)[前編]
「今日、お前変だし。」
花にジロッと顔を見られる。
「及川も昼休み終わってから
おかしかったよなぁ。」
松川も振り向きながら、
わたしを見て言う。
「あぁ。素直に部活休むなんて、
ありえねーよ。」
岩泉のまっすぐな視線が痛い。
「ついに及川に告ったとか?」
「な…っ⁈」
とんでもないことを言ったのは、
花ではなく松川だった。
「な…なんで松川が…っ⁈
てゆぅか、告ってないもん‼︎
告られ………あ…っ!」
わたしは慌てて口を押さえた。
「「「マジッ⁉︎」」」
3人が一斉に
わたしの前に立ちはだかった。
「いや…あの…その…
…って‼︎なんで松川が…⁈⁉︎花っ‼︎」
わたしは花を睨んだ。
わたしが及川のコトを
好きだと知ってるのは、
女バレの皆以外では、花だけだ。
「バカッ‼︎オレじゃねーって!
つぅか、バレバレだろーが。」
「へ…⁇」
「男バレも2、3年は知ってるぞ!」
よりによって1番気付かなさそうな
岩泉にまで言われてしまう。
「な…なん…で⁈」
「お前、わかりやすいんだって。
つぅか、お前ら一緒にいるときな…」
「な…なによ?」
やっとの思いで花に聞き返すが、
松川にあっけなく打ち消されてしまう。
「それより、告られたって、
それ以外にもなんかあったんだろ?」
「えっ⁈あ…っ‼︎な…何もないっ‼︎」
松川は何か知ってるわけー⁈
まさか見てたの⁈見てたのかぁ⁈
さっきからやたら松川が核心をつく。
(((及川…なんかしたな。)))
「言ったほうがラクになるぞー?」
さらに3人に詰め寄られる。
「お…おい…かわに…
キス……され…た…。」
やっとの思いで小さな声で言った。
「「「はぁぁぁぁ⁈」」」
「モテる…し…
こないだまで…彼女も…いて…
なんで…今更わたしに…」
「すみれ…?」
「もうわかんないよ…」
張り詰めていた何かが切れ、
わたしはその場で泣き出してしまった。
「すみれ…」
花が頭をポンポンとしてくれる。
どうして告白したの…?
どうしてキスなんかしたの…?
及川に聞きたい…。
---End---
→to be continued
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