第10章 -恋心-(及川徹)[前編]
「すみれちゃんの身長とか〜
体重とか〜3サイズとか〜あと…」
ペチン‼︎
とりあえず及川の頭をはたく。
「痛い!痛いよ、すみれちゃんっ‼︎」
「及川がヘンタイ発言するからでしょ⁈
わかるわけないでしょ。」
でも、及川なら本当に知ってそうで
ちょっと怖い…。
あと3kgくらい痩せないと…。
「あはは…ま、それは冗談だけどさ☆」
「てゆぅか、そんなことより、
バレーシューズ…なん…」
「すみれちゃんの好きな人もわかるよ♪」
及川はわたしのことばにかぶせ、
とんでもないことを言った。
「なっ……⁈」
思わず大きな声を出してしまった。
「すみれちゃん…
オレのこと好きでしょ?」
…………………っ⁈
「そ…そんな…わけ…」
ダメだ…
やっとの思いで口に出したことばは、
とても小さく弱々しいものだった。
及川には…バレてる。
「オレはすみれちゃんのこと…
ずっと…好きだったよ。」
…っ⁈
今…及川、なんて……⁈
…っ⁉︎
「ちょっ…⁈」
呆然としていると、
突然及川に腕を引かれ、
及川に抱きつくようになってしまった。
…チュ。
そして、そのまま………
キスされていた。
…っ⁈⁈⁈
わたしは慌てて及川から離れた。
「ふ…ふざけないでっ‼︎」
…ペチン‼︎
わたしは思いきり及川の頬を叩いた。
「…ってぇ。」
「バカっ!」
頬に手を当てている及川を無視し、
わたしは走って空き教室から出た。
「ふざけてないんだけどな…。
ま…そう思われてもしかたないか。」
わたしが叩いた頬をさすりながら
そう呟く及川を
わたしは知る由もなかった。
教室の外で…
一部始終を見ていた人がいたことも…。