• テキストサイズ

〜Lemon Candy Story〜

第10章 -恋心-(及川徹)[前編]


「おい…かわ…?」


な、な、な…なんで⁈


たしかに…今までも、
ふと見せる弱気というか…
いつものヘラヘラした感じじゃなくて、
心配になる時もあった。


でも、こんなことをしてきたのは
初めてだった。


「なんで…こんな時に…
ケガなんかしちゃうんだろ…」


…っ⁈


「せーっかく…
練習試合も組めたのになぁ…」


「練習…試合?」


あ…慰めるって…ケガのほう⁈
いや、だからって…この状況は…⁈


「うん…生意気な…
クソ可愛い後輩がいるトコと…ね。」


「…?
生意気なのに…可愛いの?」


「うん。
オレが凹ましたい奴その2〜♪」


なんだ…それ?
その1は…あいつ…だろうなぁ。


及川はまだ離れない。


「すみれちゃん…応援に来てね?」


「その前にちゃんと足…治しなね?」


わたしは及川の背中をポンポンとした。


「すみれちゃん…もうちょっと…」


わたしはなんだかんだ…
及川に甘いのかな…。


今日だけ…だよ?


わたしは及川の背中を
ゆっくり撫でた。


「ありがと…。ん…柔らか…」


…っ⁈


調子に乗った及川が、
わたしの肩あたりにあった顔を、
そのままわたしの胸へおろしてきて、
わたしの胸に顔をうずめた。


「へ…へ…へ…ヘンターイ!!
この…クソ川ぁぁっ‼︎」


「痛い!痛いってば!すみれちゃん!
ちょっ…オレ、ケガ人!
すみれちゃん、
岩ちゃんみたいになってるって!」


「うるさーーい!」


わたしは及川を突き飛ばして、
及川から離れた。


油断も隙もあったもんじゃない。


その後すぐ岩泉が戻ってきて、
及川は病院に行ったけど、
わたしは及川のことが心配だった。


ケガのこともだけど…
及川の心が…。

/ 579ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp