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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


「か〜っこいい♪漢だねぇ。」


ほんと、見たまんま、ザ・漢だよな。
昔っから、岩泉はかっこいい。
だからといって、
オレだって、ココで引くつもりはない。


「かっこいいけどさ、
なんの権利があってそんなコト言うわけ?
檜原はおまえの所有物じゃねぇし、
部下でも彼女でもないだろ?」


「あぁ。そうだな。」


「あんな強気発言したくせに、
やけにアッサリしてんのな?」


一見アッサリ引き下がったように見えるけど、
引き下がったわけではないのは、
岩泉の視線でよくわかる。



岩泉の力強い眼差しは、オレを捉えて離さない。



「いや…
考え無しでいきなり言っちまったからな。」


「へぇ。おまえらしくねぇな。
まぁ、ある意味、
おまえらしいっちゃ、おまえらしいのか。」


「結局、どっちだよ…」


仕事だったら、岩泉は言うべきことを
しっかり組み立ててから、
相手に伝えるタイプだから、
岩泉らしくねぇけど、
いつでも、真っ直ぐ真剣なのは変わらない。
だから、そこは岩泉らしい。


「かっこいい岩泉さんには教えませーん(笑)」


このまま話していると、
岩泉のペースに持っていかれそうなので、
オレはわざとまた茶化した。


「なんだよ、それ…」


「ま、オレも引くつもりはねーし。」


「…⁈」


「たぶんオレのが今んとこ1歩リードだし?」


ウソだ…
元カレの岩泉のほうが
2歩も3歩もリードしてる。


「どういう意味だよ⁈
あいつになんかしたのか⁈」


「さぁ?どうでしょう?」


いや、別に何もしてねーんだけど。


1歩リード…
強いて言えば、今はオレの部下で、
家が近いっつぅコトくらいか?


大したリードじゃねぇけど、
内心の焦りは気づかれたくなくて、
余裕ぶって話す。


「おまえ‼︎ふざけんなよ⁈」


岩泉は一瞬立ち上がりかけたが、
すぐに座ってオレを睨みつけてきた。


「誰を選ぶかは檜原が決めるコトだけどな、
檜原の気持ちを
無視するようなコトは絶対するな!」


「…当たり前だろ?
好きになったヤツの気持ち…
無視するようなコトするかよ。」


「…悪い。
それこそオレなんかが言う権利ねぇな。」


急に語気を弱めた岩泉のその言葉には、
何やら寂しさが滲み出ているように感じた。

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