第48章 -選択-(岩泉/黒尾)
#11
-黒尾side-
カマかけたつもりだったのに
おもっきりビンゴだよな…
檜原は、一見わかりにくいけど、
よーく見てるとすげぇわかりやすい。
静かにSOSを出してるような…
檜原が座っていた席を見つめ焼酎を飲み干す。
つぅか、岩泉のヤツ…
香さんと檜原って、タイプ違う気するけど…
ま、タイプなんて所詮は理想であって、
実際好きになるヤツなんて、
いつも違うもんな…
「よう。」
真打ち登場ですか…。
檜原が座っていた席に岩泉が座ってきた。
「おー。珍しいな。」
どちらかというと岩泉は、
同期の中ではよく話す方だけど、
飲みの席でわざわざ岩泉の方から
話し掛けに来るのは珍しい。
「便所から戻ったら、
オレの席なかったんだよ。」
岩泉の指すほうを見ると、
さっきまで岩泉がいた席には、
いつのまにか木兎がいて、
木兎は彼女と喧嘩した話を
延々と国見や金田一に聞かせている。
「…あぁ。
ありゃ戻らねぇほうがいいわ。絡まれる。」
「だろ?」
「で?オレに用事?」
「だから、言ったろ?
戻る場所がなかったって。」
「えー?オレと2人きりで
話したかったんじゃねーのー?」
オレがおちょくるように言うと、
岩泉はため息をついた。
「はぁ…おまえ、ほんとクソ川に似てるわ。」
「誰?クソ川くん?
なんかそのあだ名、かわいそ(笑)」
「高校ん時の…っつうか、
ガキの頃からの腐れ縁のヤツ。」
「へぇ。オレと似てるってコトは
クソ川くんはイケメンなんだ?」
「……。その発言も似てる。」
「へぇ。
オレ、クソ川くんと気ぃ合うかもな(笑)」
「…さぁな。」
「で?ほんとの用事は?」
「あん?」
「なんか言いたいコトあったから、
オレんトコ来たんじゃねーの?」
「だから…」
「檜原のコトだろ?」
あんだけジャブ打ちまくった後に、
さっきの赤葦と檜原の話だ…
気にならないわけがないだろう。
「はぁ…。じゃあ、言わせてもらうが…」
「なんだよ?」
「檜原に手出すな。」
檜原の話だろうなと思ってはいたが、
岩泉のハッキリとした物言いと、
毅然とした態度に思わず言葉につまる。