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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


今日の練習は散々だったけど、
いつも練習終わりに行く店に
今日も行けるヤツだけで
飲みに行くコトになり、
店に向かっていると、
いつのまにか隣に檜原がいた。


「岩泉さん、スゴかったですね!」


「何がだ?」


「スパイク‼︎モノすごい迫力で…‼︎」


あぁ…檜原たちも入ってた時は、
オレらはスパイクはしなかったけど、
その後、男連中だけでやった時は、
ガンガン打ってたからな…


「いや、全然だろ…」


つぅか、今日のは散々だったけど…


「今日ので"全然"なら、
もっとスゴイってコトですか⁈」


「…は?…ははっ(笑)
あぁ…相変わらずおもしれぇな(笑)」


こっちは何もかもうまくいかねぇと思って、
正直凹んでるっつーのに…
檜原と話してると
それすらバカらしくなってくる。


「褒めたのに‼︎"面白い"ってひどいですー‼︎」


「はは(笑)
でも、オレより木兎のかすげぇだろ?
ウチ、けっこうレベル高ぇんだぞ?」


「木兎さんは確かにすごかったですけど…
なんてゆぅか…
やっぱり普段一緒に仕事してる人が、
いきなりあんなスパイク打ったら、
その方がビックリしちゃうというか…
とにかく‼︎すごかったです‼︎」


「わかった…わかったから‼︎」


そんな生き生きして褒められると…
こっちが持たねぇよ…


「あ!檜原さーん‼︎清水さんは〜?」


後ろから、白福さんと雀田さんが来たので、
オレはここぞとばかりに檜原から離れた。


一緒にいたかったけど、
このまま褒めちぎられてると、
マジで勘違いしそうだ…


「岩泉さん、スパイクすごかったですねー♡」


「あ"⁈」


でも、今度は野太い声で褒められる。
振り向くまでもない。
横に来たのは黒尾だった。


「…ったく。今日は何なんだよ?
さっきから…」


「いや〜?なんつーの?
ヤキモチ?嫉妬ってヤツ?」


「は…⁈」


「オレ、檜原のコト好きになっちゃった。」


「な…⁈」


「ま、そーゆーコトなんで♪」


黒尾はポンとオレの肩を叩くと、
前を歩く檜原の元へ行ってしまう。



黒尾のことばが繰り返し頭に響いてくる。


響けば響くほど、
オレは自分自身の気持ちを
ごまかしきれなくなってしまった。

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