第48章 -選択-(岩泉/黒尾)
「すごーい‼︎
黒尾さん、リベロみたいですっ‼︎」
「いや、んなコト言ったら、
やっくんに怒られるわ。」
「やっくん⁇」
「あー。今日来てねぇけど、リベロの奴。」
「黒尾さんが言うなんて、
よっぽどうまいんですねぇ。」
木兎が言い出した3対3は、
アミダで決めた結果、
最初は、オレと金田一と清水、
国見と黒尾と檜原になった。
黒尾のプレーを見て、
目をキラキラさせている檜原…
「おまえもリベロやってたんだろ?
ほら、やってみろって。」
「え⁇…本気で打たないでくださいよー?
ものすごいブランクあるんですから…」
そう言いながらも、黒尾の打つボールを
檜原は綺麗に全部拾っていく。
「へぇ…あいつ、けっこううまいですね。」
「ん?…あぁ。」
ネットの逆側でアップしていると
金田一が話し掛けてくる。
「中学からやってたみたいですよ。
セッターとリベロやってたみたいで。」
「らしいな。」
あいつがうまいとかヘタよりも、
楽しそうに黒尾と話しているほうが
気になって仕方がない。
「オレらもアップすんぞ。」
でも…
「岩泉さんっ‼︎」
バシッ…
「…っつぅ…‼︎
岩泉さん、いきなり本気サーブ無しっすよ〜」
「あ…わりぃ…」
清水がトスを上げてくれると、
思わず本気で金田一に
スパイクを打ってしまった。
その後、檜原たちのチームと
3対3をやっても、メンバー替えてやっても、
檜原が気になってしまう。
檜原と別れた時は平気だったのに…
平気っつぅか、
あの頃は、会社で絡むコトはなかったしな…
あの日…檜原にキスされてから、
思ってはいけないコトが頭をよぎって仕方ない…
檜原は…
まだオレのコト…
そんなコトあるわけねぇのに……