第9章 -期待-(花巻貴大)**
じーちゃんとの…
大事な思い出だったのか。
「よし!やるか!」
「えっ⁈」
すみれはきっと、
スーパーボールすくいを
やりたいんだと思った。
でも、すみれはなかなか言わないので、
オレはびっくりしている
すみれの手を引き、
スーパーボールすくいの出店のほうへ
歩いた。
「花巻先輩⁈あの…誰かに連絡して、
今いる場所聞かないと…」
「そんなの別に後でいいだろ。
それに…」
オレは立ち止まって、
すみれを振り返って言った。
「こういうのもなんかいいよな。」
すみれにどう思われたのかは
心配だったけど、
それよりオレはすみれと2人で
一緒にいるコトのほうが嬉しくて、
少しでも長く2人きりで過ごしたかった。
「えっ⁈」
周りは暗いけどすみれの頬が、
赤くなったのがわかった。
「よし!オレがじーちゃんよりも
たくさん取ってやるからな。」
すみれの反応が可愛くて、
オレはすみれの頭をポンポンとした。
「あ…っ。えっ⁈あ…」
「おっちゃーん!1かーい!
すみれ!コレ持ってろ!」
テンパってるすみれに
気付かないふりして、
オレはすみれに
ベビーカステラを渡してから、
おっちゃんからポイを受け取り、
しゃがみ込んで、臨戦態勢に入った。
よし!やってやる‼︎‼︎
でも…
結果は…5回挑戦して、
最後にやっと1つ取れた。
「くっそー。
あとちょっとでいつも破れる!」
ちょーかっこわりぃじゃんか…。
あとでもう一回やるか…。
「すみれのじーちゃんには
まだまだかなわなかったなー。
でも、やる!」
でも、1つだけでも取れてよかった!
オレはスーパーボールを
すみれにわたした。
キラキラした
淡いピンクのスーパーボールは、
可愛いすみれにピッタリだと思った。
「いいんですか⁈」
「あぁ。
つか、すみれのためにやったんだし。」
「あ…ありがとうございます。」
すみれはまた少し頬を赤らめながら、
ニッコリしてお礼を言ってくれた。
すみれはずっと
キラキラしたスーパーボールを
星空にかざして眺めていた。