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〜Lemon Candy Story〜

第9章 -期待-(花巻貴大)**


本当はオレから離れたのに、
いかにも置いてかれたかのように
すみれに言ってから、
オレは気になってたコトを聞いた。


「つか、お前は何してたの?」


スーパーボールの出店を
見てた気がしたけど…


「あ…えっと…」


すみれは答えるのを
迷っているようだったので、
オレは先に言ってみるコトにした。


「アレ?好きなの?」


オレがスーパーボールすくいを
指差して言うと、
すみれはなんでわかったのか?と、
不思議そうにしながらも話してくれた。


「はい。小さい頃、
おじいちゃんがよくやってくれて…
わたしがやるといつも取れないのに、
おじいちゃんは
いつもたくさん取ってくれるんです。
キラキラして宝石みたいで…」


じーちゃん?


そういえば…去年の今頃、
あいつ部活中に早退したとき…


*--------


『檜原!』


練習中、”檜原”という呼びかけに、
思わずオレも監督のほうを見た。


すみれを呼んだのは監督だったけど、
監督の横にはすみれの担任もいた。


すみれの担任が何か言うと、
すみれは一瞬動揺して、
目に涙をため、泣くのを堪えていて、
監督に頭を下げて体育館を出た。


少しして休憩時間になったので、
オレも体育館の外に出ると、
ジャージのまま帰ろうとしてる
すみれを見つけた。


『すみれっ!』


『花巻先輩…?』


1人になってから泣いたのか、
目が少し赤くなっていた。


『…⁈どうしたんだよ?』


『あ…おじ…祖父が…』


また泣くのを堪えて、
笑顔を作ろうとするすみれを見て、
オレはなんとなく状況を理解した。


『わりぃ。もう言うな。』


『え…?』


『ムリすんなよ?
泣きたい時は泣いとけ?
オレでよかったら話聞くし、
オレの前でなら泣いてもいいから。』


オレはすみれの頭をポンポンとした。
すみれを少しでも元気づけたかった。


『なっ!』


数日後、部活に復帰したすみれは、
いつも通りのすみれに戻っていた。


それ以来、前よりも
すみれと話すようになった。


--------*

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