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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


「あかーしも久しぶりだよなぁ‼︎
なぁなぁ、トスあげてくれよ‼︎」


「木兎さん、ちゃんと準備運動してからに
してください。」


間違い…ない。
"あかしさん"なんかじゃない…
"あかあし"…京治だ…


「あかーし、木兎なんかほっとけって。
あ、今日からウチの会社のヤツ、
追加で連れてきたから。」


京治と木兎さんの間に
割って入った黒尾さんに
清水さんと二人で京治の前に
ひょいと押されて、
京治の正面に立たされてしまう。


「今、同じチームで仕事してる清水と…」


「すみれ…」


黒尾さんがわたしの名前を言う前に、
京治に名前を呼ばれる。



懐かしい大好きだった声で…



「京治………」


「…‼︎何?おまえら、知り合い?」


黒尾さんの声にハッと我に返り、
慌てて笑顔を作り、説明する。


「…先輩‼︎
大学の時の…サークルの先輩で…
京治先輩…お久しぶりです。」


サークルの先輩だというコトは嘘ではない。


「……あぁ。久しぶり。
敬語…ムリしなくていいのに。」


「それは‼︎でも…‼︎」


クスクス笑いながら言う京治のことばに、
慌ててしまう。


"先輩"なのに敬語じゃないって、
おかしいじゃない…


「何何⁈2人、知り合いだったのー⁈
すっげー偶然じゃーん‼︎」


ハイテンションな木兎さんに
ついていけないと思っていたクセに、
今はそのハイテンションにかなり救われた…


これ以上、京治と話すとボロが出ちゃう…。


「………インカレで、ウチの大学の
サークルに入ってきたんだよね。」


わたしとの関係は言わないほうがいい…
そう思っている
わたしの気持ちを察したのか…
それとも、京治自身が知られたくなかったのか…
京治は淡々と話している。


「そうなんだぁ♪
あ、そろそろ着替えて練習始めようよ。」


「そうだね。清水さんと檜原さんも
一緒に行こ?更衣室案内するよ。」


雀田さんと白福さんが遮ってくれて、
助かったぁ…。


でも、京治もまだ着替えていないので、
一緒に行くコトになり、
気がついたら横に京治がいた。


「元気そうでよかった。」


「え…?」


心地良い声と優しい視線…
思わず胸に熱いものが込み上げてくる。



京治は、サークルの先輩で…
わたしの初めての恋人…だった。

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