第48章 -選択-(岩泉/黒尾)
「なーんでもないです(笑)」
「なんだよ?気になんじゃねーか!」
黒尾さんはそう言うと、
わたしの頭をグリグリして攻撃してくる。
「いたーい‼︎」
でも、それを避けようとすると、
黒尾さんに肩を組むように
グイッと引き寄せられてしまう。
「ちょっ⁈黒尾さん‼︎」
「笑ったコト、覚悟しとけよ〜?」
その言葉は、皆には聞こえないように、
耳元でそっと囁かれた。
「…っ⁈」
自分の顔が真っ赤になっていくのがわかり、
わたしは顔を下に向ける。
「はぁ…黒尾さん、それセクハラです。
訴えられますよ?」
「檜原さん、大丈夫?」
月島さんの一言で、
やっと黒尾さんから解放され、
わたしは急いで黒尾さんから離れ、
清水さんの隣へ行った。
「大丈夫じゃない…
あのセクハラ上司め〜‼︎」
「ふふ…(笑)」
わたしがため息をついて怒っていると、
さっきのわたしのように清水さんが笑った。
「なぁに?」
「ううん。な〜んでもない(笑)」
「えっ⁈何?何⁈気になるー‼︎」
清水さんの微笑みが可愛すぎて、
黒尾さんのコトなんて一気に忘れてしまった。
「なんか楽しそ〜♪」
「あ!女のコだぁ。」
振り向くと女性が2人。
「お〜‼︎おまえら、間に合ったのか!
こっちはねー、黒尾の会社のー!
えっと…なんだっけ?」
木兎さんがテンション高めに出迎えるけど、
どうやらわたしたちの名前は
まだ覚えていなかったらしい。
「こないだLIN◯したろ?
ウチの会社の清水と檜原。」
木兎さんの代わりに黒尾さんが
わたしたちを紹介してくれた。
「あー!言ってた言ってた〜♪
わたし、白福ですー。」
「雀田ですー。
女のコ入ってくれて嬉しいー!」
歓迎されてるみたいで、よかった。
清水さんと2人でわたしたちも自己紹介をして、
色々話していると、
黒尾さんが人数の確認をし始めた。
「あと来てねぇのは、岩泉と金田一と国見…」
「なぁなぁ、あかーしは⁈」
木兎さんが黒尾さんに話し掛けてるけど、
アカーシ…⁇あかしさん…かな…
「あ!赤葦来たよー。」
あか…あし…?
雀田さんの声にわたしも
入り口の方を見つめてしまう。
「すみません、遅くなりました。」
え……⁇