第48章 -選択-(岩泉/黒尾)
#7.5
-国見side-
「これ‼︎国見さんですか?」
檜原は、目を輝かせて、
自分の席に置いてあったチョコレートを
オレに見せてきた。
「さぁ?」
昼休み行き忘れた檜原は、
午前中よりさらに、
心此処に在らず…って感じだったのに、
どこにスイッチがあるのか、
席についてPCに向かい始めると、
物凄い集中して、資料を作り、
打ち合わせ2本こなして、
定時前にやっと戻ってきた。
「でも、今日は黒尾さんは外出だし、
清水さんいないし…
お菓子食べるの、国見さんくらい…」
今日は黒尾さんは直帰で、
岩泉さんと清水はまだ打ち合わせから
戻ってきていない。
まぁ、消去法っていうか、
普通に考えてオレしかいないけど。
「オレ、塩キャラメル専門だし。」
檜原の席に置いてあったのは、
檜原がよく食べてるチョコレート。
塩キャラメルじゃない。
「じゃあ、国見さんが
わざわざ買ってきてくれたって
コトじゃないですか‼︎」
「わかんねーよー?
他の部のヤツかもしんねーじゃん?」
「うーん…まぁ…ゼロじゃないですけど…」
納得しそうでしない檜原を放置して、
オレはそろそろ鳴る定時のチャイムに合わせて、
PCを見ながらも、少しずつ片付けを始める。
「サンタさんかもよー?」
「GW終わったばっかりでーす。」
「んじゃ、織姫とか彦星〜?」
「それは、七夕です‼︎
てか、織姫と彦星は、
プレゼントなんかくれないし…(笑)
あはは…(笑)」
「何がおかしいんだよー?」
「だって、国見さんから織姫と彦星とか、
メルヘンなの出てくると思わなかった‼︎」
檜原は笑うのを堪えながら話すけど、
全然堪えられていない。
「はぁ…じゃ、オレってコトにしとけば?」
「え…?」キーンコーンカーンコーン…
グッドタイミング…と言わんばかりに
チャイムが鳴り、オレはPCを閉じた。
「ま、あんま根詰めんなよ?」
気持ちが仕事に影響しそうなタイプに
一瞬見えるけど、
こいつはいつも
無理矢理気持ちを切り替えている。
うまく手ぇ抜けばいいのに…
「お先にー。」
何悩んでんのか知んねーけど、
GW明け…たまにはご褒美やっても、
バチ当たんねーだろ…。