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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


「…っ…お疲れさまです♪」


「…⁈…おう…お疲れ。」


なるべくいつも通りに…
いつも通りに話しかけたけど、
岩泉さんが一瞬ビクッとなったのを
わたしは見逃さなかった。



やっぱり…迷惑だったかな…



でも、ココで引き返すのも変だし、
そのまま岩泉さんの向かいに座った。


「岩泉さん、相変わらず
その組み合わせなんですね。」


岩泉さんが食べていたのは、
A定食と揚げ出し豆腐の小皿。


わたしが下にいた時も、
岩泉さんは社食では、
いつもこの組み合わせだった。


「…あぁ。よく覚えてるな。」


「そりゃ、元部下ですから♪」


意識し過ぎないように笑って答えて、
話を続けた。


「岩泉さんもGWボケですか?」


「なんだそれ?」


「わたし、お昼行くの忘れてたんです。
そしたら、国見さんに
"GWボケか?"って言われて…」


「なんだよ、それ…?オレは、
出掛けてて昼飯食いそびれただけだって。
おまえと一緒にすんな?」


呆れているけど、
岩泉さんの表情が少し和らぐ。


こういう小さな表情にまで気がついてしまうと、
自分の心の中から
岩泉さんを追い出せていないんだと
ますます痛感してしまう。


「あ!ひどーい‼︎
でも、"GWボケじゃなくて、5月病ですー"
って、言ったんですけど、国見さん、
すごい冷たい目で見てくるんですよー。
酷くないですか?」


岩泉さんの表情の変化に気付かないフリをして、
いつものように…ただの上司と部下のように…
他愛もない話を続ける。


別に不倫してるわけでもないし、
今は付き合ってすらいない。


何も意識するコトないんだけど…。


「そりゃ、国見らしいな。
つぅか、あいつが一番5月病っぽいけどなぁ。
バレーも省エネだしなぁ(笑)」


「あ、バレーっていえば、
今週末の練習って岩泉さんも行きますか?」


朝、黒尾さんに今週末、
バレーの練習があると言われたけど、
岩泉さんも来るかは聞けなかった。


「あぁ。おまえも?」


「はい。バレー久しぶりなんで、
動けるか心配ですけど…。」


「おまえ、ポジションどこなの?」


前に黒尾さんにも聞かれたなぁ。


「中学まではセッターで、
高校ではリベロでした。
大学でもバレーのサークル入って、
その頃は両方やってたかな…」

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