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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


でも、壁ドン(ドアドン?)状態はすぐ終わり、
乗り換えの駅に着く。


ドアが開く直前、檜原が落ちないように
こちらに引き寄せるとフワリと甘い香りがして、
不覚にも心が揺れるのを感じた。


「大丈夫だったか?」


「…はい。ありがとうございました。」


もちろん、そんなコトはお首にも出さず、
丸の外線のホームに向かいながら、
檜原と話し続ける。


「なんだー?朝から意識しちゃったか(笑)?」


「し…しませんっ‼︎ほら、もう電車来ますよ‼︎」


ちぇっ…つまんねーのー。
もう少し素直に反応してくれてもいーのに
檜原は、なかなか上司と部下の関係を
崩そうとしない。


ま、それが普通なんだけど…。
つぅか、崩しちゃダメじゃね…?


檜原に促され、電車に乗ると、
ちょうど3人掛けシートが空いていて、
2人で並んで座る。


この電車は下りだから、大抵座れる。
まぁ、これもすぐ降りるけど。


「そぉいや、檜原ってほんとに彼氏いないの?」


「…いませんけど?黒尾さんて…」


「なんだ?」


「そーんなにわたしに興味あるんですか?」


「…⁈」


オレを見上げる檜原の
ニヤリとした表情にハッとする。



いつぞやのオレのことばをパクりやがったな…



「…だったら、どーする?」


オレを見上げるしたり顔の檜原を
ジッと見つめ、意識的に声も低くする。


「な…っ⁈何言って…⁈」


「ははっ(笑)
おまえ、ほんといい反応するよな〜(笑)」


「黒尾さんっ‼︎」


「まぁ、"そーんなに"はねぇけど、
"それなりに"興味はあるかもなぁ。」


「…っ⁈」


やっとテンパりだした檜原の反応に
満足したオレは、
檜原の頭をポンとして立ち上がった。


「おーい?降りるぞ?」


電車を降りて、
後ろからついてくる檜原に歩幅を合わせ、
会社への道のりを歩きながら考える。





檜原に、彼氏がいないのか、2回も聞いたのは、
この間の岩泉の発言があったから…だったけど、
"それなりに"どころか…
"けっこう"興味があるから…かもしれない…


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