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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


「え?なんでそうなるんですか?
はぁ…朝からセクハラですよ?」


「は?だっておまえんちってたしか…」


「上梟谷ですけど…
黒尾さん、梟谷だったんですね。」



"こいつんち通り道だし、オレが送ってくわ。"



そう言って、4月の飲み会の帰り、
檜原を送っていった岩泉んちは、
戸美ヶ丘のほう…梟谷とは真逆だ…



上梟谷って、梟谷の隣じゃんか…



オレの頭の中を知る由もない檜原は、
訝しげにオレを見上げていた。


「ん…あぁ。去年、こっちに
異動になって引っ越してきたんだ。
檜原は?最近?」


「新入社員の頃からずっとですよ。
近所なのに会ったコトなかったですね。」


情報を整理したくて、檜原に質問すると、
どんどん岩泉を疑う材料が増えていく。


疑うっつーか…
別にこいつらが付き合ってたとしても
なんも問題ねぇけど…


「あ、電車来ましたよ。次は乗れますかね?」


さっきの騒ぎのせいか、
混雑で少し遅れた電車がやっと来て、
今度はうまいこと二人とも電車に乗れて、
人波に押し込まれたのもあり、
気がついたら、反対のドア側にいた。


乗れてもやっぱり混んでいて、
乗り換えまで3駅だが、キツいもんはキツい。


「檜原、大丈夫か?」


「…はい。」


当たり前だけど、
混んでるから檜原とはかなり近い。


檜原をドア側にしてやりたかったが、
押し込まれたせいで、そうもいかない。


少しでも檜原を楽にさせてやれればと、
こちらへ寄せようとしたが、
檜原は最小限にしか
オレに触れないようにしている。


普通こんだけ混んでりゃ、
もたれてもひっついても仕方ねぇのに、
オレ以外にも…
誰にも触れないようにしているようだった。


まぁ、男とくっつくなんて嫌だろうけど、
知らないヤツじゃねーんだし、
少しくらい気にしねぇのに…


次の駅に着いて、人が動いた波に合わせて、
オレは檜原をドア側に追いやって、
位置を変えた。


「黒尾さん⁈」


「降りるまでこっち開かねーし、
この方が少しはマシだろ?」


「で…でも…」


「少しだから我慢しとけー。」


まぁ…意識するっちゃあ…するよな…



思ったより…檜原が近い…


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